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政治

自民党「金権選挙」の最近事情

百億円を差配する「事務総長」の辣腕

2016年7月号

 政治とカネ―。「舛添問題」で再びクローズアップされている永遠のテーマだ。ただ、政治家が集めたカネの最大の用途は家族旅行への流用ではなく、選挙資金である。票を買うような露骨な買収劇は過去のものとなったが、いまだに「清き一票」を手に入れるためには資金が必要だ。
 目下、自民党は参院選で「与党で改選過半数(六十一議席)」という目標を掲げ安倍晋三総裁らが東奔西走しているが、この選挙戦を支えているカネの出所が問題となっている。
 二〇一二年に政権に復帰して以降、自民党の台所事情は潤っている。下野直前の〇八年に約百十六億円もの借金を抱えるほど党財政が悪化したのが噓のようである。最大の収入源は政党交付金であり、今年度は過去最大となる百七十二億円が支給される予定だ。企業からの献金も順調に回復しており、直近に公開されている政治資金収支報告書(一四年分)によると、自民党の政治資金団体「国民政治協会」が受け取った企業献金は約二十二億円で、前年比一三%プラスとなっている。経団連による献金斡旋が復活したことで、昨年、今年はさらに増収が予想されている。
「金庫番」は事務総長・・・