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経済

《経営者東京裁判》葛西敬之 (JR東海代表取締役名誉会長)

「長期独裁体制」への病的な執着

2016年7月号

 リニア中央新幹線大阪延伸の前倒し支援を今年六月に表明した安倍晋三政権。二〇二七年品川―名古屋間開業後の三五年着工、四五年完成とされている現在の延伸計画を、最大八年前倒しすることを目指すという。「支援」は七月十日投開票される参議院選挙における自民党の公約にも「経済再生」の目玉として盛り込まれ、「『超低金利活用型財政投融資』を早急に具体化して今後五年間で官民合わせて三十兆円の資金を、大阪延伸の前倒しや整備新幹線の建設に投じる」などといった施策が掲げられた。要は財投債で調達した資金を無利子あるいは破格の低金利でリニア建設の事業主体である東海旅客鉄道(JR東海)に貸し付け、同社の資金・財務面の負担を軽くすることで整備を加速させようというわけだ。
 支援の条件や規模などの枠組みづくりは来年度の予算編成を進める過程のなか、国土交通省が中心となって年末までにまとめられる見込みだが、関係者によると、政府・自民党とJR東海との間ではどうやらすでに“密約”ができ上がってもいるらしい。①融資の規模は(名古屋―大阪間のリニア建設費にほぼ匹敵する)三兆円強②融資は独立行政法人・・・

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