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経済

《企業研究》JTB

個人情報「ダダ漏れ」 危険すぎる非公開企業

2016年8月号

「とんだとばっちり。そもそもセキュリティー対策が甘いうえに、事後対応もなってない」。NTTドコモ幹部が憤る。
 今年六月十四日に最大で七百九十三万人分(重複分を除き、その後六百七十九万人分に修正)もの個人情報が流出した可能性があると公表した旅行代理店最大手のジェイティービー(JTB)。
 その巻き添えを食らう形で、提携先だったドコモの旅行商品サービス「dトラベル」からも約三十三万人分の利用者データが外部に流れ出た。
 二日後の同十六日に開かれたドコモの定時株主総会。吉澤和弘社長(当時は副社長)は株主からこの問題をただされ、「高度な標的型メールの攻撃まで行き届かなかった。今後、セキュリティー対策を一層強化していきたい」などとして頭を下げざるを得なかった。
 だが、ドコモにしてみれば割り切れぬ思いだろう。JTBは発行株の二九・六一%を握る公益財団法人日本交通公社を筆頭に東日本旅客鉄道(JR東日本)、東海旅客鉄道(JR東海)や従業員持株会などが大半の株式を持つ非公開企業。株主はわずか十八名しか存在せず、株主総会といっても、いわば密室での身内の集まりだ。・・・

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