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中国農民「貧困と格差」の壮絶

共産党揺るがす「社会不安」の火元に

2016年9月号

 中国の農村が自壊を始めた。都市部の工場に低賃金の出稼ぎ農民を供給し、高度成長を支えてきたが、中国製造業の競争力低下とともに多くの出稼ぎ農民は職を失った。市場開放で急増する輸入農産物に押され農業の基盤も揺らいでいる。習近平政権は農業の規模拡大を狙って、農民に都市への移転を盛んに呼びかけるが、職なし、家なしの農民には「都市こそ地獄」。一九四九年の新中国建国を毛沢東と共に勝ち取った中国の農民は今、習政権に裏切られ、断末魔の叫びをあげようとしている。
「農村戸籍の含金量が上昇、一部の地域では逆都市化現象が発生」。七月半ば、新華社通信が奇妙な見出しの記事を配信し、中国の中央、地方の農業政策担当者に大きな議論を巻き起こした。
「含金量」とは潜在的価値という意味。記事は江蘇省や安徽省の都市近郊の農村で、農民に都市戸籍への転換を開放したものの、都市戸籍を取得する農民がわずかしかおらず、戸籍制度の改革実験が失敗に終わっているという内容だ。市域人口が一千万人の安徽省阜陽市では一年間で都市戸籍に転じた農民はわずか六千八十八人、同じく人口六百万人の同省宿州市では二千九百二十七人にとどまっ・・・