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経済

外資も食わぬ「NEC」に迫る臨終

かつての名門も今や「ゾンビ企業」に

2016年9月号

 NECの経営危機がついに最終局面に突入している。同社の二〇一六年度第1四半期決算はアナリストもため息をつく惨憺たる結果だった。売上高が前年同期比一一・七%減の五千百八十七億円。営業損益、最終損益はそれぞれ二百九十九億円と二百一億円の赤字。全セグメントで減収し、主要四セグメントのうちエンタープライズ事業を除く三部門が営業赤字だった。
「やはり社長は新野(隆)さんではなく、(執行役員常務の)森田(隆之)さんでいくべきだった」
 新野氏は四月に副社長から社長に昇格したばかりだが、NEC社内からは早くも不協和音が聞こえてくる。
 新野氏は遠藤信博前社長(現会長)の一つ年下で、保守的な金融システム事業一筋に担当してきた人物。就任当初から「遠藤路線の継承」を掲げたことを見てもわかる通り、年齢的にもキャリア的にも新味はなく「新しい方向性にNECを引っ張っていくタイプではない」(証券アナリスト)のだ。会長に退いた遠藤氏から見れば、自分に歯向かう心配のない安牌だといえる。
 社内の声にも表れているが、NEC社内には一定の「森田待望論」があった。五十歳代半ばの森田・・・