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「ならず者国家」中露の共謀

東西の「膨張主義」を米国は阻止できるか

2016年9月号特別リポート

 中国が、東シナ海と南シナ海での冒険的行動をステップアップするのに歩調を合わせて、ロシアが黒海から中東まで影響圏拡大を急いでいる。ロシアは、中国の「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」戦略にならって、影響圏に米軍を近づけないよう、前線基地網やミサイル防衛(MD)網の構築を進めている。
 中露両国にとっては、米国に封じ込められる前に防衛態勢を確立しなければならず、「時間との戦い」の色彩が濃厚だ。ユーラシア大陸の東西で、周辺国を無視した拡張路線、国益丸出しの軍事行動に加えて、九月には係争中の南シナ海で合同軍事演習を企画するなど、両国の無謀な振る舞いはエスカレートするばかり。緊張を呼ぶ事件発生の頻度が高まる中で、日米欧は緊急対応を迫られている。

黒海を「ロシアの湖」化する戦略

 夏の国際政治は避暑地で動く。
 オバマ米大統領のマーサズ・ヴィニヤード島、中国共産党の北戴河、プーチン露大統領のソチ、世界各国中央銀行首脳のジャクソンホール(米ワイオミング州)はその定番だ。
 今年は、だが、馴染・・・