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中国政争「乱戦」の行方

習近平は「二期目」を全うできるか

2016年10月号

 中国の習近平体制がその根底から傾きかねない政変が勃発し、中国共産党の権力闘争が「乱戦」の様相を呈してきた。習氏は二〇一二年に国家主席に就任してから「トラもハエもたたく」と標榜して「反腐敗キャンペーン」を展開、反習派を粛清して権力の掌握に邁進してきた。ところが、ここにきて、反習派の逆襲で、その利己的な追及がブーメランのように自らの陣営に跳ね返り、側近が失脚したのだ。
 習氏は来年秋の次期党大会で中央委員会の多数を握り、二期十年が慣行の総書記任期を三期に延長する戦略を練っていると言われていたが、この反習派による「アリの一穴」で「二期目を全うすることすら危うくなってきた」(中国ウオッチャー)との見方が急速に広がってきた。

「之江新軍」側近の失脚

 中国の東南部にある浙江省に銭塘江という大きな川が流れている。蛇行が多く、曲がりくねった川の流れが漢字の「之」の形に似ていることから、地元では「之江」という愛称で呼ばれている。
 これに由来するのが「之江新軍」。中国共産党上層部でこう呼ばれる習氏の腹心・・・