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政治

安倍と二階「虚飾の蜜月」

「経産省主導政権」の歪んだ人間模様

2016年10月号

 千客万来とはこのことを言うのだろう。自民党の幹事長に二階俊博が就任してほぼ二カ月。東京・永田町の自民党本部四階にある幹事長室への訪問客は引きも切らない。面会予定時間の三十分オーバーは当たり前で、自民党内の空気が一変した。しかし、首相安倍晋三が蟠踞する首相官邸とのパワーバランスが大きく変わったかとなると、そうではない。安倍はここぞという場面で二階とは真逆の方針を打ち出す。にわかに浮上した衆議院の解散風も安倍の一声が震源地だった。
 二階は例年通り自民党大会を通常国会召集前の一月に予定し、会場のホテルも予約した。ところが安倍が「待った」を掛け、三月五日の開催が決まった。この結果生じる約二カ月の空白期間に解散・総選挙が行われるのではないかとの疑心暗鬼を生んだ。さらに議員心理にさざ波を立てたのが、安倍の意向伝達の経路だった。安倍は二階と直接連絡をとっていない。安倍が伝えた相手は腹心で幹事長代行の下村博文。第三者を経由して二階の耳に到達した。この一連の流れは、二階と雖も政局運営の主導権はあくまでも自分が握るという安倍の強い意志の表れと見ていい。

自民党本部四階の〝監視の強化〟・・・