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政治

「伏魔殿」と化すGPIF

公的年金を転がす「無責任官僚」の巣

2016年5月号

 堅牢な家屋を造るには、ベタ基礎や地盤改良が必要だ。立派な上物も基礎が脆ければ激震に耐えられず、かえって自重で傾く。制度や組織も同じだ。公的年金の保険料水準の上昇を抑え、給付水準を保つために巨額の資金を運用するGPIF(Government Pension Investment Fund=年金積立金管理運用独立行政法人)は、基礎が脆弱な家屋の最たる例だ。
 二〇一四年十月に百三十七兆四千八百億円(一四年度末)もの資産の運用配分(基本ポートフォリオ)を見直し、価格変動リスクが大きい株式の比率を二五%から五〇%にしたが、翌年の世界同時株安で一五年度の運用益は五兆円超の赤字になると見られる。
「一五年度全体の数字が出せないなら、第4四半期の数字を通常国会の間に出すと約束してほしい」
 四月七日、衆議院環太平洋パートナーシップ協定特別委員会で、民進党の玉木雄一郎は厚生労働大臣の塩崎恭久に迫った。
 GPIFは前年度の運用状況を七月末までに公表する義務があり、例年は七月上旬に公表していた。ところが一五年度分は参議院選挙後の一六年七月二十九日発表としたため、・・・