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経済

《クローズ・アップ》十倉 雅和(経団連会長)

「急場凌ぎ」代役が背負う重責

2021年6月号

 病気療養を続けながらオンラインで病室から執務するという異例の経団連会長だった中西宏明氏(七十五歳、日立製作所相談役)が退任し、十倉雅和住友化学会長(七十歳)が就任することになった。
「トクラ? フー?」というのが一般国民だけでなく、多くのビジネスパーソンの正直な感想だろう。ほとんど無名の経済人で、住友グループのなかでもさほど目立った存在ではない。
 住友化学内では多くの人が「経営企画の人」とみる。若手の時代に電子材料部門に在籍し、役員になってからも情報電子化学部門を統括していた経験こそあるものの、キャリアの根幹は企画戦略部門。その意味では経団連との親和性は高い。
 実際、経団連副会長時代には、知見や人脈がICT(情報通信技術)分野に偏りがちな中西前会長に幅広い情報や分析をインプットする役割だった。そうした背景もあって、中西氏が経団連審議員会副議長に抜擢。古賀信行審議員会議長(野村ホールディングス前会長)の次の議長とも目されていた。
 住友化学からは故米倉弘昌氏に続く二人目の経団連会長。「米倉経団連」(二〇一〇~一四年)は前半が民主党政権時代で、・・・

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