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経済

買うなかれ 「ソフトバンク社債」

主幹事・みずほ証券が犯した「禁じ手」

2016年10月号

 ソフトバンクグループが発行した超長期社債を巡って、主幹事であるみずほ証券の良識を疑う声が広がっている。証券業界内では「禁じ手を犯した」という批判さえ出ているのだ。
 ソフトバンクグループが発行した超長期社債(償還期限二十五年、同二十七年)は「ハイブリッド債」と呼ばれる特殊な債券だ。特徴は、本来、負債にカウントされるはずの調達資金の半分ほどの金額が発行企業の資本に計上できる点にある。その分、財務体質の見栄えはよくなって格付けにプラスに作用する効果がある。
 同様の債券はこれまで、国際的な金融規制上で調達資金を自己資本に計上できる銀行や保険会社など金融業界で発行されてきたが、近年では三菱地所、三菱商事が高格付けを武器に六十年債の発行に踏み切った経緯がある。

「実質五年債」とセールス

 今回のソフトバンクグループによる発行は、この二社に続く、三例目ということになる。発行されたのは、機関投資家向け二十五年債と同二十七年債、そして個人投資家向けの二十五年債の三銘柄である。三菱地所、三菱商事との違い・・・