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経済

日本で「独り勝ち」 アマゾンに異変

相次ぐ幹部離職と「独禁法」問題

2016年11月号

「潮目が変わった」
 今年春、アマゾンジャパンの書籍部門幹部社員が自社のビジネスについて誇らしげに語っていた。二〇〇〇年の日本上陸以降、右肩上がりの成長を続けてきた同社は今期、年間売上高一兆円をうかがうまでになっている。イケイケどんどんを地で行き、書籍を中心とする日本の商流に革命を起こした同社だが、ここにきて俄かにトラブルが頻発している。ベールに包まれた巨大EC企業に何が起きているのか。
 東京・目黒―。結婚式場として有名な雅叙園の中に立つオフィスビル「アルコタワー・アネックス」。アマゾンジャパンは一二年に手狭になった渋谷のオフィスビルからここに本社を移し、十六階建てビルの多くのフロアを占めている。

「シアトル本社の利益」を優先

 同社は今年五月一日から、それまで二つあった国内法人を合併したうえで、株式会社から合同会社に移行した。その目的について「税金対策か」などと囁かれた。しかし、この時期から同社で異変が起き始めたのは確実だ。
 八月には、公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで・・・