三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

欧州で繁殖する「白人至上主義」

ネオナチより危険な「新極右」

2016年12月号

「スキンヘッドに革ジャンとブーツで、すぐに見分けがついた連中とは違う。おしゃれで、時には長髪、何よりもインターネットに強いのが、最近の極右の特徴だ」と、ドイツ人放送記者が言う。ヨーロッパでじわじわと広がる、白人至上主義の「新極右」のことである。
 ドイツで注目を集めたのは、今年八月二十七日。ベルリンのブランデンブルク門に突然、「安全な国境、安全な未来」と大書した横断幕が登場した。
 この日は「連邦政府庁舎開放の日」で、首相府や議事堂を見ようと観光客がベルリン中心部に集まっていた。穏便な表現ながら「難民流入反対」の要求は明白だった。
 続く九月には、ベルリンの地方局電波が一時乗っ取られた。「難民」をめぐる公開討論会が生中継されていたところ、「アイデンティティー運動」(IB)を名乗る極右組織の十数人が突然、「難民歓迎なんて、偽善だ」と叫び始め、会場から排除されるまでの約一分間、この放送には、「偽善者、偽善者」の連呼が続いた。
「手法は、国際環境団体『グリーンピース』そっくりと言ってよい。目立つ場所で、派手なパフォーマンスをして、それをフェイスブックで・・・