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《世界のキーパーソン》安哲秀(韓国・国民の党共同代表)

「朴辞任後」を狙う元カリスマ起業家

2016年12月号

 朴槿恵大統領の退陣が完全に視野に入った中、韓国政界の動きはすべてが「次」をにらんだものになる。野党側は早めに仕掛けて、来年三〜四月の選挙を狙う。野党側には、五十四歳の安のほか、再挑戦を期す六十三歳の文在寅(共に民主党)が出馬をうかがう。
 安は彗星の如く政界に登場した。ソウル大学医学部で医学博士号を得、その後、ウイルス対策の研究に転じて起業。「アンラボ」は国内最大のコンピューター・セキュリティー会社になった。高学歴、金持ち、起業家と、韓国人にとって夢のようなキャリアに加え、目元涼しい容貌で、公職の経験が全くないのに、いきなりソウル市長や大統領の有力候補に擬せられた。
 ソウル市長選を見送り、二〇一二年の大統領選で満を持して出馬表明。ただ、安の支持層と野党最有力候補だった文の支持層が重なるとの判断で、この時は文に譲り、出馬を断念した。一時は渡米して政界から離れていたが、一三年に国会議員の補欠選挙で当選して本格的な政治活動に入った。
 もっとも、数年前の熱狂的なカリスマ人気には陰りがある。崔順実ゲート発覚後に行われた、韓国ギャラップの世論調査では、次期大統領・・・