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韓国次期大統領選も醜い「泥仕合」に

最有力・潘基文を待つ「難関」

2017年1月号

「韓国のために役立つ道を探りたい。国民の意見も聞きたい」。昨年十二月十五日、潘基文国連事務総長は自身の歓送レセプションで、任期が切れた後、二〇一七年からの新生活を問われ、こう語った。「ミクラジ(ドジョウ)」というあだ名を持つ潘氏らしい、つかみどころのない答えだったが、「案外、今の潘氏の正直な気持ちなのかもしれない」と韓国政界関係者の一人は語る。ずっと「次期大統領の最有力候補」と言われ続けてきた潘氏だが、韓国政界の大激震で、全く先が読めない状況に陥ったからだ。
 韓国国会は十二月九日、朴槿恵大統領の弾劾を決議した。憲法裁判所が、弾劾を認めるかどうかの決定を百八十日以内に下す。ただ、政界では「早ければ一月末」「遅くとも三月までに結論が出るはずだ」という声がもっぱらだ。政界では「朴槿恵はすでに過去の人」(セヌリ党議員)。誰もが、朴氏が大統領を罷免され、その六十日以内に大統領選が行われると信じて疑わない。
 潘氏陣営は従来、今年十二月の大統領選に備え、一月に帰国してから春先までは各界元老と面会して、じりじりと出馬の雰囲気を盛り上げ、桜の花が咲く頃に出馬を宣言、八月ごろにセヌ・・・