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インドIT人材「争奪戦」の壮絶

世界が垂涎「天才学生」の採用事情

2017年1月号

「マイクロソフトが初年度の年俸一千五百万ルピー(約二千六百万円)を提示したらしい」
 昨年十二月一日、インド工科大学(IIT)。世界の大手企業から自動運転、人工知能、ビッグデータ解析などの専門家、採用担当者が続々と同学の各キャンパスに現れた。インドでは毎年この日が、上位の理系大学の採用活動解禁日なのだ。
 インドにはアメリカの総人口に匹敵する三億一千五百万人の学生が存在しており、中国を六千万人も上回っている。大学数は七百、カレッジ数は三万五千を超え、在学者数は三千万人。その巨大人材ピラミッドの高みにいる「スーパー学生」を獲得するために彼らは集まって来ているのだ。
 天才たちを射止める初任給オファーはグーグル(二〇一五年度)やオラクル(一四年度)が提示した年間二千万ルピー(約三千五百万円)を筆頭に高騰が続く。壮絶極まりないIT人材争奪戦で米国企業が繰り出す「高額提示」「即断即決」「大量採用」を前に、日本企業は手も足も出ない状況だ。

米国の一流企業が現地へ出向く

「オラクルが十万ドル・・・