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経済

もはや不要の「証券アナリスト」

ルール厳格化と「AI」の登場で

2017年1月号

 早晩、大量解雇時代がやってくる—。そんな恐怖に駆られ始めている特殊技能集団がいる。株式投資の世界で活動している証券アナリストである。かつては、証券会社などで花形的な存在だったが、今はそんな輝かしいムードは消え去った。アナリスト無用論の逆風が彼らを凍りつかせている。
「高度の専門知識と分析技術を応用し、各種情報の分析と投資価値の評価を行い、投資助言や投資管理サービスを提供するプロフェッショナル」
 日本証券アナリスト協会のホームページに示されている説明をみると、きわめて高度な職業のように受け取れる。だが、実態はどうなのか。あるベテランアナリストは苦笑いを浮かべながらこう語る。
「四半期決算ごとに、徹夜でパソコンに向かう季節労働者。株式市場のブラックビジネスです」
 なかでも、証券会社に籍を置くアナリストたちはその典型であり、有力顧客である資産運用会社などを担当する営業部門から「早くレポートを仕上げよ」と尻を叩かれる身分だ。営業マンたちからすれば、アナリストという存在は一銭も稼ぎ出さない営業サポートにしか映っていない。日本アナリスト協会・・・