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経済

《企業研究》三井住友銀行

旧住友「一党独裁」で蘇る危険な体質

2017年1月号

「私のアイデアとして人事委員会(取締役会の任意の諮問機関)に提案させてもらった」。昨年十二月十六日の会見で宮田孝一社長はこう強調したが、本当だろうか。
 今年四月からの新経営体制を発表した三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)。三井住友銀行(SMBC)の國部毅頭取がSMFG社長に横滑りし、高島誠専務執行役員に取締役の肩書を付与したうえで後任に起用する。奥正之SMFG会長と北山禎介SMBC会長は揃って取締役となり、宮田SMFG社長が双方の会長職を兼務。國部氏は新設するグループCEO(最高経営責任者)にも就任する予定だ。
 金融庁は一昨年来、メガバンクをはじめとした総合金融グループに対し、フィンテックなど金融と親和性の高い事業子会社の新設を認める代わりに、持ち株会社をグループの中核的存在と位置付けてその機能を強化・高度化するよう求めてきた。銀行主導では傘下の証券会社やノンバンクなどに対する監視が十分に行き届かず、責任の所在も不明確で企業統治上、問題があると見たからだ。
 今回の首脳人事はこうした当局の意向を踏まえたもので、SMFGは六月下旬の株主総会での承・・・