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「米政権交代」日本は泰然としておれ

ポール・ケネディ(歴史家)

2017年1月号

 —歴史家として、「トランプ政権誕生」をどうご覧になりますか。「歴史的必然」なのでしょうか。

 ケネディ 歴史家は特定の事象について、「あれは偶発的な事故だ」と見ないものだ。今回も、米国内の社会・経済的背景があったのは間違いない。変化に対する白人層の大きな不安、オバマ大統領への憎悪、東部エスタブリッシュメントに対する強烈な反感といった説明が、すでに提供されている。
 私は米大統領選の投票の前夜、四年に一度恒例で行う、政治と歴史の専門家晩餐会に出ていた。出席者の誰一人として、「トランプ当選」を予想しなかった。次期政権下で、世界は「不確実な世界情勢」と「不確実な米内政」という、二重の不確実性の時代になる。

 —米国には、次期大統領に代表される「反知性主義」がはびこっているのではないでしょうか。

 ケネディ それは間違いない。トランプは「反知性主義」であるのみ・・・