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連載

Book Reviewing Globe 392

ポピュリズムの正体

2017年1月号

 ドナルド・トランプを大統領に選んだ米国も、BREXITの道を選んだ英国も、ポピュリズムのパーフェクト・ストームのただ中にある。その嵐は今後、大陸欧州でも吹き荒れるだろう。
 一体、ポピュリズムとは何か。
 それは、まず反エリート主義であり、そして反多元主義である。
 一%のエリートに対して自分たちは九九%の味方であるとうそぶく。これが反エリート主義である。
 ただ、ポピュリズムはそこにとどまらない。自分たちは、いや自分たちだけが、人民の意思を代表していると宣う。つまり、自分たちは一〇〇%を代表しているとの立場に立つのである。
 トルコのエルドアン大統領は、国内の反対派の批判には決まってこう問い返す。「われわれが人民なのだ。あんたがたは一体、誰?」。ポピュリズムを支える群衆は、強いリーダーを求める。ポピュリズムの担い手は、それを演じようとする。オランダの極右政党、PVV党首のヘルト・ウィルダースの政治活動基盤は彼がつくった財団であり、その財団が中心となって日曜日ごとに、ウィルダースはデピュティーと呼ばれる議員たちに政治を説き、議会での仕・・・