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米露関係は必ず「悪化」する

「核軍備」で脅し合う物騒な展開も

2017年2月号

「米国のエスタブリッシュメントは妥協した。それは、トランプは(大統領で)構わないが、ロシアは敵国だ、ということだ」
 ロシアの高名な外交評論家、ドミトリー・トレーニン氏が一月九日、こんなツイートをした。米国の影の支配者たちは、トランプを次期大統領として受け入れるが、彼には対ロシア政策を触らせないのが条件、というのだ。
 トレーニン氏はロシア外務省出身で、米シンクタンク「カーネギー国際平和財団」の看板アナリストに転じた。米露双方の軍事・外交当事者に幅広い人脈を持つ、老獪な観察者である。
 ツイートのタイミングは絶妙だった。翌十日、CNNが「ロシアはトランプを脅す、セックスビデオを持っている」と報道し、トランプ氏の「親露」発言が、本人の政治信条ではなく、クレムリンに弱みを握られていることからくるのではないかと示唆した。
 報道の翌十一日は、当選後最初のトランプ記者会見。「ウソだ」「ナチスと同じ手法だ」とCNN報道を否定するトランプ氏から、ロシア擁護の言葉はほとんど聞かれなかった。
 この日と翌十二日には、ロシアのトランプマニアが愕然とする出・・・