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WORLD

偽ニュースが「産業」になる東欧の貧国

欧州「ポスト真実」時代の新風景

2017年2月号

 バルカン半島にあるマケドニア、と聞いて思い当たる読者は相当なヨーロッパ通である。旧ユーゴスラビアから一九九一年九月に独立し、人口は約二百万人。
 ユーゴ内戦時以外に、ここがニュースになったのは、自国の正式名称「マケドニア共和国」が、隣国ギリシャから「マケドニアとは、我が国の歴史的地名である。紛らわしい名前をつけるな」と抗議され、国際問題化した時くらい。国語の「マケドニア語」も、ブルガリアから「そんな言葉はない。ブルガリア語の方言だ」と扱われる。
 国名と国語という、独立国の基本的要件さえ国際的認知を得られない国に、昨年秋から世界中の大手メディアの特派員たちが、足を運んでいる。この国の山間部にあるヴェレスという人口五万人の町が、国際政治の震源地になっているからだ。

コピペで嘘を量産する失業青年

 取材した英国人記者は、「驚くほど何もないところ。非常に寂れた印象だった。英語はかなりブロークン」と言う。ヴェレスには以前、窯業があり、ユーゴ時代にチトー大統領のディナー食器を作っていた。「チトーの・・・