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経済

「トランプ相場」に浮かれるな

米国債市場「バブル崩壊」で大混乱へ

2017年2月号

「崩壊しそうで崩壊しない」
 米国債相場について市場ではこう囁かれてきた。だが、米国十年債利回りは一九八一年の一五%台から、昨年七月のブレグジット騒動後の一・三%台まで低下(債券価格は上昇)した後、上昇(価格は下落)を続けている。債券王ジェフリー・ガンドラック氏が率いる債券ファンドからは、十二月だけで三十五億ドルの資金流出となるなど、昨年十〜十二月期の米国債市場は、一九八七年以降で最悪のパフォーマンスとなった。
 過去八百年を振り返ると、「ヴェネツィア商人の全盛期時代一四四一〜八二年の強気相場」「イタリア戦争終結の一五五九〜一六六四年の強気相場」そして「一九八一年から現在まで三十五年続いている米国債相場」の三つの大きな債券バブルがあった。現在は「期間の長さで三番目」「利回りピークからの下げ幅で二番目」という歴史的なバブルぶりだ。
 崩壊へのトレンド変化を示す分岐点として、ガンドラック氏は「三%」を挙げている。「四〜五年で六%に達する」とも言う。米新政権発足によって債券バブル崩壊は早まったとみられる。今後起こる「三%の攻防」付近では、債券から株、為替、商品ま・・・