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経済

三井住友信託「解体処分」の窮地

金融庁を激怒させた「裏切り」の経営

2017年2月号

「ついに解体ショーの始まりか」。金融筋の間ではこんな声すら飛び交う。
 発行済み株式の六六・六%を握る資産管理信託銀行、日本トラスティ・サービス信託銀行(JTSB)を同業でみずほフィナンシャルグループ(FG)系の資産管理サービス信託銀行(TCSB)と経営統合させる方針を固めた三井住友トラスト・ホールディングス(HD)。年度内をメドに共同持ち株会社を設立して両行をいったんその傘下に入れた後、二〇二〇年までに対等合併させる案を軸に検討する。金融当局の揺さぶりを受け、再編を余儀なくされる格好だ。
 資産管理信託は年金基金や企業から有価証券などの資産を預かって運用状況を管理したり、利子や配当の支払いを代行したりする。信託銀行にとってはまさに中核業務の一つだ。継続的に多額のシステム投資が必要で「薄利多売」(JTSB関係者)。統合した方がスケールメリットを享受できるとはいえ、その事実上の「グループからの切り出し」(金融筋)は、みずほFGにとっては「些事」(関係者)でも、いまや本邦唯一の独立系大手信託となった三井住友トラストHDからすれば「わが身を引き裂かれる思い」(OB幹部)だ・・・