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金正男を「見捨てた」習近平

中朝関係「改善」で変わる半島情勢

2017年3月号

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が国外追放の異母兄、金正男の暗殺を企て、父・金正日の後継者争いに終止符を打った—。大方の識者がそう見る事件の二日後、金正恩は金正日誕生七十五周年記念行事に姿を現した。後継争いの最後の関門を迎えた金正恩の表情は固かった。
 朝鮮半島の王者は中国の皇帝から朝鮮王の印綬を受け地位を保障される。前近代国家、北朝鮮の王権継承を完成させるために金正恩には、中国に行き、皇帝、習近平国家主席から正統政権と承認されるという重要な儀式が残っている。米国トランプ政権の誕生で、その関門に突入する時がようやく訪れようとしている。
 金正日の誕生記念行事「光明星節」では、喪主役の金正恩に代わって金永南・最高人民会議常任委員長が金正日の霊に報告した。「金正日総書記の指導の継承問題を完璧に解決したのは最も貴い業績だ」。
「指導の継承問題」とは、単なる王位継承ではない。金日成、金正日と二代続く指導者の家系「白頭山の血統」を万世一系のものとして純化継承することだ。
「白頭山の血統」は、三代目で第二夫人の腹の金正男と第四夫人の腹の金正哲、正・・・