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ロシアが欧州各国で「選挙妨害」

「極右政党」支援に全力のプーチン

2017年3月号



 今年相次いで国政選挙に臨むオランダ、フランス、ドイツで、ロシア政府直結の政治的陰謀が猛威を振るっている。プーチン政権は、サイバー攻撃を軸に、「欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)解体」に向けフル回転。指導者への悪質な中傷から、各種犯罪捏造まで、冷戦時代にも見られなかったダーティー・トリックが、西欧に吹き荒れている。
「エンチュルディグング(お詫びします)」という大きな活字が二月、独大衆紙「ビルト」(二百五十万部)のフランクフルト版を飾った。
 同紙が報じた、「昨年大みそかに、市内の少女が、アラブ系移民と見られる三人に誘拐され、集団暴行された」というニュースが、根も葉もない「フェイク(偽)ニュース」だったからだ。
 フランクフルト在住のドイツ人記者は、「被害者は、『イリーナ』というロシア風の名前だった。『少女の叔父』を名乗るカフェ経営者が『見た』と言い張ったので、警察の裏付けがないまま記事になった」と言う。この記者がカフェ経営者の取材を試みると、もぬけの空。フランクフルト警察は、「事件はなかった」と結論付けた。「反移民感情・・・

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