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連載

「トヨタに転職」番記者のモラル低下

マスコミ業界ばなし

2017年3月号

 日本会議関係者の運営する学校法人に国有地が格安で売却され、あまつさえ首相夫人がその法人が設立する小学校の「名誉校長」になっていた。連日報道合戦が繰り広げられてもよさそうな疑惑だが、メディアによって温度差が激しい。特に全国紙では、先陣を切った朝日新聞に加え毎日新聞が連日伝えているのに対し、読売、産経の両新聞は申し訳程度にしか報じていない。この理由を「安倍首相との距離」で説明するのは簡単だが、どうやら事情はそれだけではないようだ。
 問題の土地の売買を認めた「国有財産近畿地方審議会」のメンバーには、読売新聞大阪本社編集局の現職の管理部長(当時)がいた。さらに、土地を購入した学校法人による小学校の新設を認可した大阪府の「私立学校審議会」にも、読売の現職社員が名前を連ねているのだ。在阪全国紙記者の一人は「身内が認めたものに難癖をつければ、弾が自分に飛んでくるかもしれないため、読売は大きく取り扱えない」と解説する。
 産経の方は、国有財産近畿地方審議会にOBのジャーナリストがいるだけだが、実は「渦中の学校法人から広告を出してもらっていたため、上層部が『この件は是々非々でいけ・・・