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日本は「極右政党」をもう拒めない

松谷 満(中京大学教授)

2025年8月号

 ―今回の参院選での参政党の躍進をどう捉えていますか。

 松谷 日本で極右ポピュリズムが明確に形を現した歴史的な選挙と言える。参政党のコアな支持層はかなり偏った考えを持っている人が多い。しかし今回は、それ以外の「ふわっとした右派的思考を持つ人たち」を巻き込んだ。今の生活に不満を抱えている人も多かった。フランスの極右・国民連合をみても、あれだけ支持が広がるのは、周辺に比較的穏健な人たちがいるから。彼らは現状への不満を国民連合に託している。同じことが今回、日本でも起きた。

 ―これまでも右派の政党はありましたが違いはどこでしょう。

 松谷 8年ほど前には、日本第一党が極端なヘイトスピーチを繰り広げた。彼らは、あくまで伝統的な右派の文脈に縛られ、憲法や国旗、教育勅語や歴史観などに固執した。今の日本保守党も同様だが、そこまで支持は広がらない。参政党は彼らと同じことや、似たようなことは言うが、特に縛られず、相対的にみて自由で柔軟な主張を展開する。なんとなく「外国人怖いよね」と思うような人に、小難しい歴史問題を説いても効果がないのだ・・・

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