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中東産油国「AI産業誘致」が過熱

強権サウジがここでも劣勢に

2025年12月号

 湾岸諸国ではいま、クラウドやAIなどデジタル産業をめぐる外資誘致合戦が熱を帯びている。
 サウジアラビアのムハンマド皇太子が推進する「ビジョン2030」は、その象徴だったスマートシティ構想「THE LINE」の大幅な計画見直しで、実現に陰りが見え始めた。そこへ追い打ちをかけたのが、アラブ首長国連邦(UAE)による「中東初のディズニーランド」誘致だ。UAEの躍進にサウジの焦りは募るばかりだ。
 こうした状況で、ムハンマド皇太子が次の勝負の舞台に選んだのが「クラウドとAI」だ。データセンターに積み上がる画像処理半導体(GPU)こそが、これからの世界を動かすレバレッジだと信じ、実現へ執念を燃やしている。湾岸諸国全体のデータセンター市場は、24年時点で約34・8億㌦、30年には約94・9億㌦と3倍近くに拡大する見通しだ。投資ベースでも電力容量ベースでも世界有数の成長フロンティアになりつつある。
 その中で、とりわけサウジとUAEは、投資と演算能力の両面で、あからさまな「数字の殴り合い」に踏み込んでいる。UAEは、アブダビとドバイを中枢に据え、UAEの国営AI企業・・・

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