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政治

「たばこ政策」にみる政治の低俗

国民「不健康」で潤うJTと財務省

2017年4月号

「今日も元気だ たばこがうまい!」「たばこは心の日曜日」。日本たばこ産業(JT)の前身である日本専売公社が、こんなキャッチフレーズで喫煙を奨励した時代も今や昔の話だ。厚生労働省が二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックに向け、病院や学校の敷地などを全面禁煙として罰則を設ける受動喫煙防止対策案を策定。自民党内の推進派と慎重派が鋭く対立して、その行方は煙に包まれるがごとく見通せない。この相克の核心は、国家財政に欠かせざる税収と位置付けてたばこを売りながら、禁煙に突き進む国家政策の絶対矛盾にほかならない。アクセルを踏み続けながら急ブレーキをかける摩訶不思議なたばこ政策の裏面に迫る。
 対策案は禁煙エリアを三つに区分けし、違反する施設管理者には五十万円以下の過料を科す。最も厳しい「敷地内禁煙」には医療施設、小中高校、児童福祉施設などが分類され、「建物内禁煙」には官公庁、大学、運動施設などを分類した。いずれも全面禁煙で、喫煙室は認めない。「原則建物内禁煙」には飲食店やホテルが入り、喫煙専用室を設置できる。受動喫煙防止対策の強化は東京五輪に向け、世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会・・・