三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

新疆ウイグルで漢民族「大量流出」

習近平「強権支配」の新たな難題

2017年4月号

 中国の新疆ウイグル自治区ではイスラム教徒のウイグル族を中心とする分離独立運動が続いているが、習近平政権の徹底した情報遮断で実態は海外に伝わりにくくなっている。だが、習政権の意図とは裏腹に新疆では今、漢族の大脱出が加速、中国支配が根底から揺らぎ始めている。戸籍上は漢族人口は変わらないが、実数は過去十年で半減した、ともいわれる。漢族を狙う連続テロで治安が悪化する一方、成長を支えたエネルギー産業が落ち込み、新疆にとどまる理由が薄れているからだ。漢族の少子高齢化も人口減少に拍車をかける。新疆の「非中国化」は台湾独立の機運とともに習政権の危機につながりかねない。
 毎年、三月五日に開会する中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)。約三千人の代表が集まる全体会議以外に、省・市・自治区に分かれた分科会が開かれ、重要度に応じて習主席、李克強首相ら最高指導部が顔を出す。今年は十日に開かれた新疆ウイグル自治区の分科会に習主席が出席し、「断固として社会の調和・安定を守り、不断に民族の団結を強固にしなければならない」と檄を飛ばした。
 通り一遍の発言に聞こえるが、この発言にはあるメッ・・・