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経済

ガス自由化「抹殺」した東京ガス

競争なき「首都圏独占」継続で高笑い

2017年5月号

 電力小売り全面自由化がスタートして一年がたった四月一日、都市ガスの小売り全面自由化も始まった。電力全面自由化は一年で五%強しかスイッチングが行われずまさに拍子抜けだったが、都市ガス全面自由化はそれ以上に盛り上がらないとの見方が大勢だ。最大の原因は、参入障壁が随所にちりばめられた都市ガスの事業制度にある。詳細設計を担当したのは経済産業省資源エネルギー庁だが、議論を主導したのは都市ガス最大手の東京ガスだ。東ガスは役所の卸取引市場構想を握り潰し、新規参入の芽を摘んだ。その結果、自社管内に乗り込んでくるのは、弱体化した東京電力と誰も知らないLPG会社のみとなった。総括原価のもとで帝国をつくりあげた東ガスに彼らが太刀打ちできるわけもなく、東ガスによる首都圏の一強支配が崩れる可能性はほぼなくなった。

カネと接待でロビー活動

 資源エネルギー庁が隔週金曜日に公表している都市ガスのスイッチング状況をみると、ガス全面自由化がいかに機能していないかがよくわかる。四月七日時点のスイッチング申込件数は十三万三百四十二件。このうちの・・・