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東アジア「米軍優位」は揺るがず

北朝鮮「直接攻撃」はまだ先の話だが

2017年5月号

 米フロリダ州での米中首脳会談で大恥をかかされた習近平・中国国家主席が、帰国後矢継ぎ早に「軍改革」と「軍近代化」を打ち出している。
 現状では西太平洋で米国の軍事力に太刀打ちできないことを思い知らされ、人民解放軍に早急な対策を求めているのだ。
 だが、習主席の号令が飛べば飛ぶほど、中国軍の弱点は浮かび上がるばかり。先端軍事技術で米国に大きく後れを取るばかりか、軍内部の腐敗や士気の低下も表面化した。
 西太平洋における覇権を米国と競う日は、まだ先のことというのが実情である。

質・量で劣る中国の核抑止力

 習主席が帰国後、いかに軍事問題に取りつかれたかは、イベントの過密ぶりに現れる。
 トランプ大統領との食事中にシリア攻撃を告げられた屈辱から、新たな週が明けた四月十日。遼寧省葫芦島市にある「渤海造船所」が、原子力潜水艦建造の新施設をまもなく完成させることを、中国の国内メディアに公表した。
 同造船所が建造するのは、核戦争のシナリオで最も重要視される兵器「戦略ミサイ・・・