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連載

マスコミ業界ばなし

2017年5月号

 長時間労働が当たり前だったメディアの取材現場で「働き方改革」が始まっているが、軋轢も起きている。
 TBS政治部では、休日出勤した記者に代休取得を厳命。しかしNHKの「日曜討論」の現場取材を行った若い自民党担当記者が代休を申請したところ、直属の上司に却下された。これが上層部の知るところとなり、「政治部会が開催されるという物々しい騒ぎになった」(TBS関係者)。その場で政治部長が当該上司を面罵して、「一分でも休日出勤したら代休を取らせることを改めて周知した」(同)とのこと。
 NHKでは今年に入って夜回り取材や休日出勤の制限が始まっているが、四月には、勤務状態をより正確に把握するため、GPS端末を記者に持たせて管理する計画を発表した。しかし「すぐに記者からの猛反発を受けて取り下げられた」(NHK関係者)らしい。
 時事通信社でも夜間勤務についての新たなルールが四月二十四日から運用開始となった。夜八時以降の夜回りや打ち合わせなどは、「その日のうちに記事化できないものは仕事と認められない」(時事関係者)そうだ。夜回りや政治家との酒席がすぐに記事になるケースのほ・・・