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トランプ家の「経済犯罪」疑惑続出

高まる「任期前退陣」の確率

2017年6月号

 ドナルド・トランプ米大統領が「ロシアゲート」の泥沼に沈む中で、トランプ政権の致命傷となる弱点が浮かび上がっている。
 中国とロシアという、米国のライバル二国との間で、トランプ一家が長年築いてきた数々の「ビジネス・ディール」が、政府の倫理規定違反はもとより、純然たる経済犯罪に当たる、という疑惑である。
 米政界のドラマには、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を筆頭にした国際的政治陰謀が潜む一方で、不動産王一族の利権とカネへの執着が招いた腐敗醜聞という色彩も強まる。大統領が権力機構との対立を回避しない限り、その立場は脆弱になるばかりだ。
 米連邦捜査局(FBI)の捜査陣を本気にさせた「事件」は、ジェームズ・コミー長官の解任の約三カ月前に起こった。
 今年二月、トランプ大統領はコミー長官をホワイトハウスの会合に招いた。大統領はその後、同席したマイク・ペンス副大統領とジェフ・セッションズ司法長官に、「席を外してほしい」と要請。二人きりになったところで、「フリン(前大統領補佐官)はいいやつだ」「頼むから、この件を見逃してくれないか」と持ちかけた。{br・・・