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連載

Book Reviewing Globe 397

太平洋国家としての米国の条件

2017年6月号

 トランプ政権の誕生後、米国のアジア太平洋戦略がにわかに不透明になっている。日米同盟に関しては、安倍・トランプサミットが早期に設定され、両首脳が個人的関係を構築できたこともあって、日米同盟堅持の枠組みは維持されている。
 しかし、トランプ政権のTPP脱退は大方針だし、何よりもこの地域に対する米国の長期的コミットメントと地域秩序形成のビジョンが見られない。
 そうしたとき、米国の建国以降のアジア太平洋政策を裏打ちし、まといつく国家理性と矛盾を、理念と利害の双方から追跡し、そこから太平洋国家としての米国の条件と可能性をあぶりだす試みが必要となっている。
 米国における日本研究の第一人者であり、また政府高官として実際に対日外交、対アジア外交に携わった著者は、この本でその命題に真正面から取り組んでいる。
 中でも重要な戦略概念は、一八九九年九月、ジョン・ヘイ国務長官が掲げた門戸開放と機会均等である。
 具体的には、中国に対して、米国にも列強と同様に最恵国待遇を求めることを目的としており、
①中国の商業、鉄道、航海への市場アクセス②中国・・・