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政治

日本を腐らす「総理のご意向」

「政治の私物化」で失速する官邸

2017年6月号

 秋篠宮家の長女眞子さまの婚約報道が首相安倍晋三を苛立たせている。苛立ちの原因は婚約の事実そのことではない。公表のタイミングだ。婚約の第一報は五月十六日午後六時五十九分のNHKのニュース速報。NHKはそのまま七時からの「ニュース7」に直結して大々的に報じた。昨年の天皇陛下の退位をめぐる報道と流れは全く同じだ。この「お気持ち報道」のインパクトの大きさがその後の天皇退位をめぐる法制化にまで辿り着く。そして今回の眞子さまのご婚約は安倍が否定的な女性宮家創設問題に火を点けた。
 天皇陛下の退位をめぐる特例法が閣議決定されたのは十九日。その直前というタイミングで公になった眞子さまのご婚約報道に、安倍は「宮内庁の影」を感じ取ったのである。現に特例法の制定に伴う付帯決議案については女性宮家の創設をめぐって与野党の対立が続く。安倍が天皇陛下の退位と同様に「宮内庁の仕掛け」を強く意識したとしても不思議はなかった。
 その反映だろう。今年になって安倍はしばしば、一九一三(大正二)年二月五日に尾崎行雄が首相桂太郎を追及した衆議院本会議での弾劾演説を引用する。
「玉座を以て胸壁と・・・