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経済

信金・信組に迫る「大量死」

終わらぬ「マイナス金利」の生贄たち

2017年6月号

 顧客密着の金融サービスという金融行政の号令とは裏腹に、全国各地で庶民金融を支えてきた中小金融機関が存続の危機に晒されている。約一年半に及ぶマイナス金利政策がこのまま継続すれば、今年度下期にも金融の動乱劇が勃発しかねない。
 それを象徴するような事態が今、南関東の一角で生じている。深刻な経営悪化に瀕している小規模信用組合の救済話が「暗礁に乗り上げている」(信組関係者)のだ。仮に、ここではA信組としておこう。A信組は近年、有価証券運用の失敗や地域経済の疲弊に伴う取引先企業の実質倒産など厳しい事態に直面してきた。三期連続の赤字決算を余儀なくされ、すでに「単独で苦境を打開する見込みはない」(同)状況にあり、水面下では救済策が検討されているが、一向に話が進展していない。
 金融庁主導による業界再編、すなわち他の信組による救済合併という従来のパターンではなかなか解決に向かわないのだ。「同県内には、救済できるような体力のある信組がない」というのがその理由である。信金、信組ともに、かつての金融危機の局面で金庫数、組合数が大幅に縮小している。信組の場合、全国で五百を数えていた総数は・・・