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経済

《企業研究》日本郵政グループ

野村不動産買収の物悲しき「裏事情」

2017年6月号

「隠された狙いはウチを叩き出すことなのでは……」。東芝グループ関係者の一部からは、こんな悲鳴も上がったらしい。
 NHKが五月十二日夜七時のニュースのトップで報じた、日本郵政グループによる野村不動産ホールディングス(HD)買収の“大スクープ”。関連会社の野村土地建物を通じて野村不HDの発行済み株式の三三・七五%を持つ野村HDからの保有株買い取りを含め、野村不HD株の過半数取得を目指してTOB(株式公開買い付け)の実施などM&Aの検討を進めているというものだが、実は野村不HDは東芝本社が入居する「浜松町ビルディング」(東京・港区、地上四十階建て)のオーナーだ。
 当初は東芝の完全子会社が所有していたが、二〇〇八年のリーマンショックで東芝本体の業績が悪化した際に同子会社株の六五%を八百億円で野村不HDに売却。さらに一五年、不正会計問題で再び屋台骨が揺らぐと、残る発行株の三〇%分も三百七十億円で同社に追加で売り渡した。
 一九八四年の竣工以来、「東芝ビルディング」と呼ばれてきたビル名が現在の名称に置き換わったの・・・