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連載

西風434

熾烈な戦い「関電vs大ガス」

2017年7月号

 関西電力が原子力発電所の再稼働を受け、九月ごろに実施する予定だった値下げを前倒しして「八月一日に実施する」と表明した。ところが、「値下げ幅は未定」という異例の発表。その背景には客離れへの深刻な危機感がある。
 関西は四年ぶりに原発が動く夏を迎える。関電にとって、やっと一息つけると思われたが、関電首脳陣の顔色は冴えない。というのも電気の販売量が下げ止まらないからだ。五月はピークだった二〇一〇年から約二割も減り、初めて中部電力の販売量を下回った。
「ずいぶん減っている」と岩根茂樹社長も記者会見で危機感を露わにした。総発電量の五〇%と原発依存度の高かった関電は、東日本大震災後の原発停止の穴を埋めるため、火力発電を増やし、液化天然ガス(LNG)などの燃料費が経営を圧迫してきたのだ。それに伴う電気料金の値上げで企業の「関電離れ」を招いたところに、一六年四月には家庭向け電力の販売が自由化され、大阪ガスなどの新規参入者に顧客を奪われた。
 今年五月、関西の五大私鉄の一つ京阪電気鉄道が、関電から大阪ガスなどが出資する新電力「エネット」(東京)に運転用電力を切り替えたこと・・・