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WORLD

ロシアが「原発輸出」で独り勝ち

「核外交」で同盟国を奪われる米国

2017年7月号

 ロシアが世界の原子力発電所契約を総なめにする勢いだ。最近だけでも、インド、トルコ、エジプト、ハンガリーなどと新規契約や協力協定を結び、今や世界の原発輸出市場の六割を占めている。
 東芝傘下だった米ウエスチングハウス(WH)社が破産し、フランスのアレバ社も不振を極める中、「一強」の地位をフル活用して、中東やアジア、ヨーロッパで外交的影響力も伸ばしている。
 ロシアの原子力産業の力を印象付けたのは、インドとの商談だった。インドは現在二十二基の原子炉を持ち、さらに二〇二四年までに原子力発電を三倍にするという野心的計画を持っている。WH社とは六基建設の契約を結んでいた。
 同社の破産でインドの構想は再検討を余儀なくされるかに見えたが、この機会を見逃さなかったのが、ロシアである。

UAE以外の中東を総取り

 今年五月、ドミトリー・ロゴージン副首相がニューデリーに飛び、旧知のナレンドラ・モディ首相と会談した。副首相は以前、ドミトリー・メドベージェフ首相の北方領土訪問で日本から批判が起きた時・・・