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経済

《地方金融の研究》佐賀銀行(佐賀県)

山口FG「統合構想」の現実味

2017年7月号

「不祥事はいつだって福岡からやってくる」。佐賀銀行幹部の一人はこう言って苦り切る。
 現役行員が職員通用口の鍵とセキュリティカードを同僚から無断で拝借して支店に忍び込んだうえ、窃盗団を手引きして多額の現金を盗み出す―。
 明治期から今に至るまで幾多の犯罪に彩られた銀行裏面史の中でも「掉尾を飾るにふさわしい」(メガバンク筋)と皮肉られる、前代未聞の事件が発覚したのは昨年十月のことだった。舞台となったのは福岡市城南区内にある同行干隈支店。被害金額は五千四百三十万円にものぼった。窃盗団の“首魁”とされているのは闇金業者の男で、営業支援部調査役だった行員はこの業者に多額の借金を抱えていたらしい。
 だが、事はこれだけでは終わらなかった。同行員は同八月に箱崎支店(東区)で起こった金庫破り未遂事件にも関与していた。今年二月には顧客から預かった定期預金や投資信託計一千三百万円を流用していたことや、顧客名義のカードローンや消費者ローンで三百五十万円を借り入れていたことなども判明した。
 さらに六月に入って明るみに出たのが顧客情報の流出だ。・・・