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経済

Jパワーは遠からず「消滅」へ

東電・中電に「吸収合併」される運命

2017年8月号

 仮借ない再編圧力が八十年前の悪夢を蘇らせるのだろう。ある電力会社の幹部は、眉をひそめてこうつぶやいた。
「近い将来、“第二の日発”が出現するかもしれない」
 ニッパツ、すなわち日本発送電とは、戦時下の一九三九(昭和十四)年、軍部と結託した当時の内務省・逓信省の革新官僚が設立した電力国家管理の特殊会社である。国家総力戦の掛け声の下、松永安左ヱ門はじめ民間電力人の抵抗は封殺され、全国の発電所、変電所、送電網は次々と接収されていった。このときの暗黒の記憶が、今も電力業界に残る官と一線を画す風土を生んだと言っていい。
 日発は戦後、GHQによって「過度経済力集中排除法」の指定を受け、電力九社に解体されたが、九社は資金不足にあえぎ、戦後復興の旺盛な電力需要を賄えなかった。そこで五二年、日発最後の総裁だった小坂順造らが中心となって設立された卸発電会社が、現在のJパワー(電源開発)にほかならない。財政投融資資金をテコに大規模水力の開発に乗り出すが、現場を支えたのは戦中の朝鮮・満州で活躍した水力技術者たち。つまり、後に石炭火力最大手へ発展したJパ・・・