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カナダ「不動産バブル」が破裂寸前

移民大国が背負う「宴の後始末」

2017年8月号

 二〇〇〇年代の宴をまだ続けている「最後の国」がある。
 カナダだ。
 世界金融危機後、先進諸国のなかで明らかな勝ち組だった同国では「危機は起こらない」とまで言われてきた。だが、それは都市伝説に過ぎなかったと知るべきだ。二〇〇〇年以降、同国の不動産価格指数は二五三%も上昇してきた。長年鳴らされてきた警鐘を無視してバブルを膨張させてきたカナダは今、不動産価格の乱高下、販売件数の急減、ローン会社での取り付け騒ぎなど混乱の時を迎え、いよいよ崩壊が迫っている。
「カナダでは米国にいる我々のような住宅市場の崩壊は経験せず、今も成長が続いて価格も高騰している。これはバブルだ、もしくは最近までそうだったようにみえる」
 米国のロバート・シラー教授は、カナダ・バブルの崩壊を予想して“五年前に”こう述べていた。
 左頁のグラフを見れば一目瞭然。かつて米国とカナダの不動産価格は連動していたが、米国の金融危機後に大きく上下に乖離している。バブル化しているのはバンクーバーとトロントなど都市部の住宅用物件で、なかでも戸建に集中している。例・・・