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政治

虚構の「大官房長官」菅義偉

霞が関への「神通力」もガタ落ちに

2017年8月号

“影の総理”ともてはやされた官房長官、菅義偉の凋落を印象づける人事が行われた。
 霞が関の官僚らが息を殺して見守っていた、経済産業省の事務次官人事で嶋田隆(通商政策局長)の昇格が決まった。
 経産相の世耕弘成、首相の政務秘書官である今井尚哉らが嶋田を推し続ける中、嶋田昇格には反対をし続けていた菅は何の政治力も発揮できなかった。
 嶋田昇格が正式に発表されるまで、省内では菅の覚えがめでたいとされる資源エネルギー庁長官、日下部聡がなるのではないかという見方が強まっていた。それだけに菅の政治力の衰えを一層印象づける結果となった。
 霞が関のみならず、永田町がこの嶋田の人事に注目していたのは、現在の菅の政治力を測るバロメーターになると見ていたからだった。
 およそ一年前、当時官房長だった嶋田の去就に対する政治介入は、霞が関の官僚らを震え上がらせた。
時の事務次官、菅原郁郎が嶋田を自らの後任に据える人事案を菅に示した。それを見た菅は露骨に嫌な顔をすると、
「もう嶋田には身を引いてもらうのがいいんじゃない・・・