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経済

《クローズアップ》佐川宣寿(国税庁長官)

ミスター「森友」が徴税の親分に

2017年8月号

 国有地の格安払い下げ問題をめぐる森友学園疑惑で一躍「時の人」となった財務省の佐川宣寿前理財局長(五十九歳)が、七月五日付で国税庁長官に栄転した。当人が国有地売却に直接関与したわけではなく、政府は「順当人事」と強調するが、国税庁には就任前から苦情電話が鳴り続ける異例の事態に。国民の血税を集める徴税組織トップとしてふさわしいのか、これほど資質を問われた長官もいなかっただろう。
「法令に従って対応しただけだ」「個別に(事実関係を)確認する必要はない」。森友学園問題に関する国会質疑で、野党からの質問に表情一つ変えず、「ゼロ回答」を繰り返した佐川氏。時にはいらついた様子で答弁を早々に切り上げ、野党からは「真摯に答えようという誠実さに欠ける」(民進党関係者)と非難の的になったほどだ。
 一方で、ふてぶてしいまでの態度が「野党のいちゃもんには強気に反論すべき」と考える安倍晋三総理の琴線に触れ、評価を上げたとされる。
 官邸筋は「国税庁長官への昇格は佐川氏個人への論功行賞というよりは、省を挙げて政権を守った財務省への『よくやった』というメッセージ」というが、安倍官邸との・・・