三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

「加計も認可」大学設置審議会の大罪

少子化でも「三流私大」を増やす異常

2017年8月号

「認可妥当と判断されても、また一騒動になることは間違いない」
 文部科学省のある幹部はこう漏らした。国家戦略特区制度を利用した学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画問題は、閉会中審査でも「加計ありき」の印象は拭えなかった。文科省はあくまで、政府にごり押しされた被害者のはずだが、同省が頭を抱える火種がある。文科相の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」(設置審)が同学園の獣医学部新設申請を認めるかどうかの判断だ。八月下旬に結論が出され、同月末に大臣が追認する流れとなっている。
 特区での事業者選定は主に内閣府が所管、学部新設の認可は文科省の所掌となっていることが今回の事態を複雑にしている一因だが、国際競争力の有無など物議を醸す特区での選定に比べ、設置審では形式的な教育環境の適否を判断するため、よほどの落ち度がない限り、認可されるのが常だ。冒頭の発言のような懸念が浮上するのは、認可審査と実務面を審査する一部の委員名簿が非公開(審査終了後に公開)であるため、野党から「設置審はブラックボックス」との批判が避けられないためだ。

文科省の天下り先を確保・・・