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経済

全日空「8・12 緊急着陸」の深層

あわや御巣鷹「青い翼」の慢心

2017年9月号

 それは、全日本空輸(ANA)の危うい将来への黙示だったのか―。一部の関係者の間ではこんな囁きさえ交わされている。
「愉快犯の仕業かもしれない」
 八月十二日、羽田発伊丹行きのANA37便が、機体トラブルのため羽田空港へ引き返した「緊急着陸」騒動は、多くの国民にあの夏の夜の悪夢を思い出させた。三十二年前の同じ日、群馬県・御巣鷹山に墜落し、航空事故史上最悪の五百二十人の死者を出した日本航空(JAL)123便の惨事と状況が酷似していたからだ。
 伊丹空港への行程、十八時の出発時刻、伊豆大島上空で十八時三十分頃に発生したトラブル、気圧システムの異常……、いずれもJAL123便と一致しており、偶然とは割り切れない不吉な暗合は、オカルトめいた話題となってネットに氾濫した。トラブルの原因とされる車輪格納部の空気ダクトの破損自体、不自然なのだ。ある整備関係者は「定期交換されるダクトはめったに故障しない部品」と首を傾げつつ、こう続けた。
「トラブルは、ちょうど御巣鷹山で追悼慰霊式が開かれていた時刻に発生している。犠牲者の三十三回忌を踏・・・