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政治

「国家安全保障会議」で内乱勃発

安倍が握り潰した「谷内局長の辞表」 

2017年9月号

 北朝鮮の弾道ミサイルを巡り日米中露韓の安全保障情勢が緊迫している最中、日本の司令塔である国家安全保障会議(NSC)は極秘の内部危機を抱えていた。事務方トップの谷内正太郎国家安全保障局長が、安倍晋三首相に辞意を伝えていたからだ。
 現在七十三歳の谷内氏はこれまでもたびたび年齢を理由に交代を願い出ては慰留されてきたが、今回は「正式に辞表を出した」(政府高官)とささやかれる。もちろん官僚の立場をわきまえた谷内氏のこと、森友・加計問題で失速していた政権の足を引っ張る無分別は避けるため、実際は「国会閉会後、夏の内閣改造に伴う人事異動で私はお役を御免こうむります」という申し出だったが、かつてない深刻な決意であったのは間違いない。原因は、首相最側近である今井尚哉首相政務秘書官の専横ぶりにある。今井氏が外交・安保政策に秘書官の分限を超えて影響力を行使するのは今に始まったことではない。
 温厚な谷内氏が「これではNSCの存在意義に関わる。私は責任を負いかねます」と首相への直訴に踏み切ったのは五月、中国が北京で開いた広域経済圏構想「一帯一路」に関する初の首脳級国際会議に、今井氏が「首・・・