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ロシアが次なる「領土拡張」へ

「ベラルーシ占領」に怯える西欧

2017年9月号

 米国のマイク・ペンス副大統領は、「代理」業務で大忙しだ。
 今年の夏は、バルト三国の北端にあるエストニアに飛び、集まった三国の首脳に対して、「北大西洋条約機構(NATO)の集団安全保障の義務は必ず守られる」ことを保証しなければならなかった。
 副大統領が盛夏の七月末にこの地まで足を運んだのは、九月十四日から二十日まで、露軍の四年に一度の大規模軍事演習「ザーパド(西方)二〇一七」が行われるためだ。北欧、東欧諸国の間では、「ロシアが演習にかこつけて、軍を自在に動かし、ウクライナ型の紛争を起こすのでは」という懸念が強まっている。
 ロシアの最近の軍事行動としては、二〇〇八年のグルジア戦争と一四年のクリミア併合が際立つが、グルジア戦争前には「カフカス二〇〇八」、クリミア騒乱前には前回の「ザーパド二〇一三」が行われていた。どちらも実際の戦闘の前に、大部隊を動かす名目として使われ、一部が戦闘開始時まで周辺に残っていた。

「ハイブリッド戦争」の脅威

 ポーランド政府のある当局者は言う。「露軍・・・